インプラント手術の痛み
手術中の痛み
外科手術が伴うことが、インプラント治療のデメリットともいえます。しかし、インプラントの手術では基本的に局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんど感じることがないといって良いでしょう。
麻酔を打つ際に注射の痛みを感じることがありますが、表面麻酔を用いることで最小限の痛みに抑えることが可能です。麻酔が効きづらい方もいらっしゃいますので、術中にお痛みのある場合は局所麻酔を追加投与します。
インプラントが骨に埋め込まれる瞬間にも痛みはありません。手術中の痛みが心配でしたら、歯科医師と事前にしっかり相談しましょう。当院では、治療中の行動一つひとつに際しても、「引っ張ります」「水がかかります」など、事前の声かけをするように心がけています。不安感を少なくしてから治療に臨むことをお勧めします。
手術後の痛み
インプラント手術後には、手術部位が腫れる、違和感や鈍い痛みがあるといった症状が出ることがありますが、通常は数日から1週間ほどで痛みは軽減していきます。特に手術後の1～2日間は痛みを感じやすいため、痛み止めを服用することで痛みを和らげることができます。1～2週間程度経過すると、ほとんどの場合、痛みや腫れはおさまります。また、痛み止めを服用せずとも、普段の生活に支障をきたさない方もいらっしゃいます。
インプラントの手術は様々な手法があり、それぞれ痛みを感じる場所や痛みの強さが異なります。特に骨や歯茎を移植する場合で患者様ご自身の歯や歯茎を移植するケースでは、2か所で痛みが生じる可能性があり、骨や歯茎を取ってきた場所の方に痛みが出やすい傾向があります。
痛みや腫れが生じている場合、保冷剤で冷やしたり、柔らかい食事をとったりすることで違和感を軽減できることもあります。腫れや痛みが強く続いたり、悪化したりしてしまった場合は、感染などの可能性もあるため、歯科医院を受診しましょう。
手術後から数年後にかけての痛み
通常、インプラント治療後の長期的な痛みはほとんどありませんが、手術から数年後に痛みが発生するケースもあります。特にインプラント周囲炎と呼ばれる、歯垢の細菌によって引き起こされる感染症は、進行が早く治療が困難とされており注意が必要です。インプラント周囲の粘膜の腫れや粘膜からの出血、膿みが出る、インプラント周囲の歯肉が下がってきた、インプラントが脱落してしまった、などの症状がある場合、すぐに歯科医師に相談しましょう。
インプラント周囲炎を予防するためには、日常的な歯磨きや歯間ブラシ・フロスの使用が大切です。歯科医院での定期的なクリーニングや健診を受け、口腔内の清潔を保ちましょう。
インプラント手術後の注意点について
処方された薬を指示通り服用する
インプラントの手術後は、痛み止めや抗生物質、うがい薬が処方されます。痛み止めは、痛みが軽い場合は自己判断で服用されなくても問題ありません。ただし、抗生物質は手術部位の感染を防ぐために大切です。痛みがない場合でも、指示された期間しっかり飲み切ることが重要になります。抗生物質は途中で服用を止めると、傷口や血液から細菌が入り、体内で増殖してしまうリスクがあります。抗生物質を摂取し細菌の増殖を防ぐほか、うがい薬で傷口に付着する汚れを落とすことで、口腔内が清潔に保たれますので、手術後の回復が順調に進み、インプラントの定着がしやすくなります。
手術後数日は入浴や飲酒、激しい運動を控える
インプラント手術後の体はとてもデリケートな状態であるため、手術部位に負担をかけるような行動は控える必要があります。運動や入浴、飲酒は血行を促進し、手術部位の腫れや出血を悪化させる恐れがあるため、特に手術後の1〜2日は避けましょう。軽い散歩程度の歩行は問題ありませんが、激しい運動は血圧が上がりやすくなり、腫れや痛みを引き起こす可能性があります。
また、入浴は湯船に浸かると体温が上がり、出血しやすくなるため、シャワーのみで済ませると安心です。飲酒も血流が増加し炎症を引き起こしやすいため、控えるようにしてください。安静にする目安は出血がおさまるか、手術日から1~2日です。
手術部位を刺激しない
インプラントを埋め込んだ部位に刺激を与えてしまうと、出血や炎症を引き起こす原因となります。手術部位を舌で触れたり、指や歯ブラシで触れたりしないように注意しましょう。
また、食事も柔らかく消化しやすいものを選び、手術部位側で噛まないようにすることが大切です。硬い食べ物や粘着性のある食べ物、刺激の強い調味料や熱い飲み物も避け、手術部位に負担をかけないよう心がけましょう。
タバコを控える
喫煙すると血液中の酸素が減少し、手術部位の血流が悪くなることで、インプラントが骨にしっかりと定着するのを妨げる原因となります。また、タバコの煙に含まれる有害物質がインプラント周囲の組織に炎症を引き起こし、感染リスクが高まることもあります。できるだけ手術前後の1～2ヶ月間は禁煙するのが理想的です。喫煙によってインプラント周囲炎のリスクも高まるため、インプラントを長期的に維持するためにも、禁煙することが推奨されます。
インプラント治療の流れについて
カウンセリング、検査
歯科医師とのカウンセリングで、インプラント治療の流れや費用についての説明を受け、治療計画を立てます。その後、口腔内診査・レントゲン撮影・CT撮影を行い、虫歯や歯周病の有無や骨の状態、噛み合わせなどを確認します。
この診断結果をもとに、治療計画が立てられます。虫歯や歯周病がある場合は、インプラント治療よりも先に、これらの病気の治療を優先することがあります。
インプラント手術のリスクがないと判断されたら、治療を開始します。
インプラント埋込手術
局所麻酔後、顎の骨にインプラント体を埋め込む手術を行います。当院ではサージカルステントと呼ばれるガイドを用いてインプラントを埋込します。サージカルステントではCTのデータと模型を元に、インプラントを埋入する位置をシミュレーションすることにより、リスクを最小限までに抑えることができます。
インプラント埋入後は、骨とインプラント体が結合するまで、2ヶ月～4ヶ月程度の待機期間があります。
アバットメントの装着 ※クリニックによって変わります
フィクスチャー（人工歯根）が顎の骨に定着したら、次にアバットメントを装着します。アバットメントとは、人工歯根と人工歯を接続するための土台となる部分です。
アバットメントを装着せず、インプラントと上物の二層構造で治療を行うこともあるため、必ず発生するものではありません。
仮歯の装着（プロビジョナルレストレーション）
もし、複数本のインプラント治療を行う場合は、仮歯を装着し、噛む力や見た目などの機能と審美性を確認することも大切です。これはプロビジョナルレストレーションと呼ばれ、一人ひとりの歯の状態に合わせて治療方針を決定する考え方です。ただし、ほとんどの歯科医院では、プロビジョナルレストレーションは行いませんので、事前に確認しておくと良いでしょう。
上部構造（人工の歯）の装着・噛み合わせ調整
最終的な被せ物（人工の歯）を作製するために型取りを行い、人工の歯を装着します。人工の歯の種類は患者様と相談して決定します。
噛み合わせを調整し、全体的なバランスを整えます。インプラント体は天然の歯の歯根と比べて硬いため、噛み合わせの調整がうまくいかないと、対合歯（噛み合う歯）が割れてしまうなど、破損の原因となってしまいます。丁寧に噛み合わせ調整を行っていきましょう。
当院では、入れ歯や欠損の期間が長い方は噛み合わせの盛り足し調整を行う場合があります。その方に合った噛み合わせを探してきます。入れ歯からインプラントにすることで、顎関節症が治るわけではありません。しっかりとした顎の位置と噛み合わせの状態をつくることによって、症状改善につながっていきます。
メンテナンス
治療終了後は、インプラントを長持ちさせるために定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ってしまうと、インプラント周囲炎になるリスクが高まり、結果的にまた歯やインプラントを失ってしまう可能性もあります。当院では患者様のインプラントを含めたお口のなかが長持ちするように、親身になってサポートいたします。
まとめ
インプラント治療には外科手術が伴いますが、手術中はほとんど痛みを感じることはなく、術後の痛みも1〜2週間程度で治まります。治療に際して不安や疑問がある場合は、事前のカウンセリングで歯科医師としっかり相談することが大切です。
浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院では、以下の6つをインプラント治療のポリシーとして掲げています。
- 噛み合わせを考慮したインプラント治療
- CT分析・シミュレーションの徹底
- 治療計画の説明と同意
- 徹底した感染対策
- サージカルステント（ガイド）を用いたインプラント埋入
- プロビジョナルレストレーション（仮歯による機能・審美性の確認）
患者様がご納得いただけるまで、丁寧に治療相談を行います。
インプラント治療を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。
