歯周病があるとインプラントは難しい
インプラントは歯を失った際に、その代わりとして人工の歯を入れる治療法です。
したがって、入れ歯やブリッジに類するものであり、よほどのことがないかぎり誰でも治療を受けられるイメージがあると思います。
しかし、日本人の高い割合で発症している一般的な口の病気「歯周病」があるとインプラント治療を受けられなくなるケースがあります。
歯周病があるとインプラント治療が受けられない理由
では、なぜ歯周病があるとインプラント治療を受けられなくなるのでしょうか。その理由は、さまざまなリスク要因が高まりインプラントが骨と結合しないことで治療を失敗する可能性が増大するからです。
以下に具体的な懸念点を挙げていきます。
インプラントを埋めるための骨が足りない
歯周病は歯の周りの骨や歯肉にダメージを与えます。進行すると顎の骨にも炎症が広がり、骨を溶かしてしまいます。これは骨吸収と呼ばれ、インプラント体を埋め込むために必要な骨の量が足らないので治療ができません。
インプラント周囲炎になりやすい
インプラント周囲炎とは、インプラントと歯肉の間に細菌が入り炎症を起こすことです。歯周病は細菌による感染症なので、歯周病のままインプラントの治療を行うと有害な細菌が治療した部分に侵入しやすくなるので、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まります。
進行が進めば歯周病と同じように骨吸収を引き起こし、インプラントが抜け落ちることにもなりかねません。
インプラントの寿命が短くなってしまう
インプラント周囲炎からもわかるように、歯周病はインプラント治療にとって大きなリスクになりますので、結果としてインプラントの寿命を短くさせることにつながります。実際、歯周病患者様の場合は治療後のインプラント残存率が低いことが報告されています。
実は、インプラントは天然の歯(自分の本来の歯)よりも病気の進行が早くなるのです。まさに歯周病はインプラントの大敵です。
歯周病でもインプラント治療をする方法
歯周病だとインプラント治療はできないのか? 残念ながら答えはYESです。
ですが、それは歯周病を発症している状態でのお話です。
つまり、歯周病を治せば問題なくインプラント治療を受けることができるようになります。
歯周病治療の方法
それでは歯周病治療はどのようにして行えばよいのか。歯周病の治療には大きく2つのポイントがあります。以下にそれぞれ紹介していきます。
1.プラークコントロール
まずはプラークコントロール。テレビのCMなどでよく聞くワードだと思いますが、プラークとは歯垢のことを指し、歯に付いている細菌と食べもののカスの塊を意味します。このプラークが歯周病の原因となりますので、これを取り除く、できるかぎり減らすことを目指します。日々の歯磨き(ブラッシング)が非常に重要になります。
2.生活習慣の改善
次に歯周病治療に必要なのがリスクファクターの排除です。つまり、歯周病を引き起こす要素を減らし、発症リスクを抑えることになります。歯周病を発症させるものとしては、喫煙・ストレス・糖尿病・骨粗しょう症などがあります。どれも生活習慣と深くかかわるものなので、日々の生活を改善することが治療につながります。
歯周病改善の目安
このように歯周病治療によって症状の改善を目指していくわけですが、完治することは難しいです。そこで、インプラント治療を行ってもよい状態かどうかの目安となる指針が存在します。
歯周病改善の目安は歯周ポケットの深さで、3〜4ミリほどであれば改善したといえるでしょう。ほかにも、検査時の出血の有無や歯茎の膿がないかどうかといった判断材料もあり、問題がなければインプラント治療を受けてもよい状況と判断される可能性が高まります。
ちなみに、浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院では、中等度〜重度の歯周病患者様に対する歯周内科治療もおこなっております。進行が進んでいる方もインプラント治療を諦めずに取り組んでいただけるような環境になっています。
歯周病予防はインプラント治療後も必要
歯周病でもインプラント治療を行えることはわかっていただけたと思いますが、治療が完了したら終わりではありません。
歯周病の予防をしなくてはなりません。
インプラントを埋めた後も歯周病(インプラント周囲炎)は脅威であり、前述したようにインプラントの寿命を縮めます。
インプラント周囲炎にならないために
インプラント周囲炎は歯周病と同じように、口腔内の細菌が蓄積すると発症しやすくなりますので、口の中のケアが大切になります。適切なブラッシングを毎日行い、プラークを取り除きましょう。
また、歯科やクリニックによる定期的な検診とメンテナンスも重要です。個人では限界がありますので、専門家のよるチェックや正しい指導がないと万全な歯周病予防は難しいです。インプラント周囲炎の早期発見・早期治療にもつながりますので、できるかぎり実行してほしいところです。
インプラント周囲炎の治療法
それでもインプラント周囲炎になった場合は治療が必要になりますが、進行状況によって治療法が変化します。
初期段階の場合は「非外科的治療」が行われます。代表的なものとして「PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)」があります。これは細菌の除去やインプラント表面の洗浄などになります。
浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院では、GBTクリーニングを使用しています。GBTクリーニングとは、従来の歯面掃除(歯石除去)では難しい、バイオフィルム(むし歯の原因)を除去できる新しい予防システムです。また、GBTクリーニングは歯肉をほとんど傷つけないため、歯肉縁下(歯の歯茎から見えていない部分)やインプラントの周囲粘膜にも使用できます。
一方、インプラント周囲炎が進行しているケースでは「外科的治療」として、歯垢や歯石、不良組織を手術によって取り除くことになります。これはフラップ手術と呼ばれるものです。
まとめ
歯周病であっても症状が改善すればインプラント治療を受けることが可能です。
歯周病はインプラントにとってさまざまな悪影響を及ぼす脅威となりますので、インプラント治療を受けたい人はもちろん、インプラント治療が完了した患者様もプラークコントロールを始めとしたお口のケアが必要不可欠です。
口腔内環境を整えるための定期検診やメンテナンスは、信頼できる歯科医、クリニックに相談しましょう。
浜松町歯科・矯正治療院および松木歯科医院では、以下の6つをインプラント治療のポリシーとして掲げています。
- 噛み合わせを考慮したインプラント治療
- CT分析・シミュレーションの徹底
- 治療計画の説明と同意
- 徹底した感染対策
- サージカルステント(ガイド)を用いたインプラント埋入
- プロビジョナルレストレーション(仮歯による機能・審美性の確認)
※別途費用が発生します
※治療の内容によっては行わない場合もあります
患者様にご納得いただけるまで、丁寧に治療相談を行います。
インプラント治療を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。