当院で行われている歯科治療は…
当院では、可能な限り歯を残し、できるだけ長い期間ご自分の歯でお過ごしいただくことを念頭に治療を行っています。
日本の歯科医療には、「痛くなったら、悪くなったら治す」という対症療法的な治療がその根底にあります。
また、もっとも一般的に行われている保険診療には、使用できる材料に制約があります。
しかし、これらの考え方では歯を残し、守っていくことは難しいのが現実です。
当院では、従来の考え方にとらわれず、積極的に欧米の歯科医療の考え方を取り入れながら、「歯を残し、長くご自分の歯で過ごしていただく」ための治療をご提供しています。
先進国の中で日本の歯科医療の水準は高いのか?
日本の医療水準は高いという印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか?
しかし、歯科医療に限っては、驚くべき数字が出てきます。
80歳のときに残っている歯の本数が日本人の場合、欧米の方よりも極端に少ないのです。
日本 | 欧米 | |
---|---|---|
80歳のときに残っている歯の平均本数 | 約7本 | 15~20本 |
歯医者で予防処置を年に2回以上受けている人 | 約2% | 80%以上 |
なぜ日本では歯を失う方が多いのか?
治療計画の省略
日本では痛くなったらその都度その部位を治療するという対症療法的な治療が一般的です。
治療計画は建物に例えると設計図に当たります。
家を建てる際に、「設計図」がなければ、期間や費用が不明瞭になるだけでなく、まともな建物にならない危険性すらありえます。
欧米では歯科治療においても治療を開始する前に口腔内全体(歯牙、歯周組織はもとより顎関節、嚥下(えんげ)、呼吸のメカニズムまで)を1つの単位として捉え、治療計画を策定し、治療に入るのが当たり前となっています。
咬み合わせへの配慮がない治療
日本で一般的に行われている「痛くなったところをその都度治療する」といった局所的な治療は、結果として咬み合わせを考慮しない治療となってしまっています。
咬み合わせが正常に機能しているかどうかは1本1本の歯を診ているだけでは把握できず、口腔内全体を1つの単位として捉え、治療を行っていく必要があります。
日本では軽視されている咬み合わせですが、顎関節症や体の歪みの原因にもなりますし、咬み合わせが悪く、特定の歯に噛む力が集中すると、虫歯や歯周病の原因にもなってきます。
最終的には虫歯や外傷性咬合によって抜歯に至ったケースでも根本的な原因として咬み合わせの問題に起因するケースがあるのです。
長期的に歯を残すためには、咬み合わせにも配慮した治療が必要です。
精度の低い治療
日本では一人の患者様に割く治療時間は、1回5~15分程度と非常に短く、治療に使用する材料や器材も保険制度に制約されています。
欧米では一人一人の患者様に1回1時間から場合によっては数時間にわたって予約または時間をいただき、治療を行います。
また、使用する材料や器材も治療にとって最善のものを使用することが一般的です。(例えば日本では一般的な保険材料である銀歯は欧米ではJapanese Toothと呼ばれるほど、世界的には特殊な歯冠修復材です。)
定期検診が一般的ではない
アメリカなどの健康保険制度がない国では、学校や会社に休暇を取って歯の定期検診に通うことは常識です。このような習慣があるのは、治療が必要となると高額な治療費がかかるためですが、この習慣のおかげで欧米のご高齢の方は日本と比較し、とても多くの方がご自分の歯でお過ごしになられています。
日本では治療が必要になっても比較的低い費用で治療が行え、また予防処置に健康保険が適用されないこともあって、定期検診に通う方が少ないのが現状です。
診療システム
治療相談&治療計画
治療に入る前のご相談や治療計画の策定、ご説明にも30分~1時間程度のお時間を設けています。
できるだけ患者様がわかりやすいように、そして治療後を想像しやすいように、口腔内写真、模型、症例写真等をご用意し、ご説明いたします
マイクロスコープ
歯の根の中や歯と歯ぐきの隙間は、肉眼で見ることができない場合も多く、通常、手探りや感覚に頼って治療が行われます。
しかし、マイクロスコープを使用することによって、肉眼では見えない歯の根の中や歯と歯ぐきの隙間を高倍率で確認することができるようになります。
このことによって、肉眼での治療のように、不要に削り過ぎていたり、逆に細菌に感染した組織を除去しきれていなかったりすることがなく、最小限の侵襲:MI(Minimum Intervention)による治療を行うことができます。
また、肉眼では確認しにくい歯のひびや歯質と人工歯の境目の適合度合いを確認するのにも非常に有効です。
アメリカでは、根管治療の専門医や、学生実習にマイクロスコープの導入義務があるほど、必要性・有効性が認められていますが、日本ではまだ50医院のうち1医院ほどしか普及していないのが現状です。当院では、歯科治療用の顕微鏡であるマイクロスコープを導入し、精度の高い歯科治療をご提供しています。
むし歯が原因で歯を削り、詰め物や被せ物をするとき、その境目の精度が非常に大切になります。歯質と人工の歯の境目に隙間ができてしまうと、そこから細菌が侵入し、むし歯の再発の原因となって折角入れた詰め物や被せ物は使えなくなってしまいます。そのような詰め物・被せ物は、肉眼ではスムーズな境目に見えても、マイクロスコープで拡大して確認するとガタガタです。
マイクロスコープを使用し、滑らかな境目を形成することによって、非常に精度の高い、隙間がなく、細菌の侵入しにくい治療が行えるのです。
治療用ユニット
当院では、世界20カ国に支社を持つKaVo社製の治療用ユニットを採用しています。
治療用ユニットは、モーター、注水などの性能が治療の精度に影響します。
モーターは歯を削るときにぶれない安定性を、注水システムは歯を削る際に発生する熱をコントロールします。注水量が少ないと熱で歯の神経が死んでしまうこともあります。
また、KaVoの治療用ユニットは治療時に飛散する粉塵の吸引にも優れています。飛散する粉塵を吸引することで衛生的に治療を行うことができます。
切削時の注水量
1.十分な冷却(60cc以上) 2.歯牙に優しい微温水(体温に近い) 3.高度なミスト状スプレー
バキュームの吸引力
切削能力を考えての吸引量
咬み合わせの検査
右の写真は、アルクスディグマという咬合機能測定器です。
これは、超音波により顎の形と動きを3次元で測定するデジタル式顎運動計測装置で、現在の咬み合わせの測定と、正しい咬合の設計に使用します。
当院では、正確な咬合治療を行うために、このアルクスディグマをはじめ、模型上で顎の動きを再現する咬合器や8μ〜80μ(1μ=0,001mm)までのさまざまな厚みの咬合紙などを導入し、治療に役立てています。