虫歯の急患対応について
当院では基本的には完全予約制での診療体制ですが、最近は虫歯を放置して神経が壊死してしまっているケースや長期的な予後を考えずに治療をして、二次虫歯になってしまっているケースが多くなっています。
- できるだけご自身の歯や神経を残してほしい。
- 再治療を繰り返して歯を失ってほしくない。
このような考えから、当院では虫歯治療の急患対応を行うことになりました。
ご予約の方が優先になってしまうので、お待たせしてしまいますが、対応いたしますのでお電話でご予約ください。
※急患対応はお電話のみとなっております。ご了承ください。
虫歯の原因について
どうして虫歯になるのかを知ると、治療後からするべき予防対策が見えてきます。治療も大切ですが、治療後に再発させないことも重要なので知識として蓄えておきましょう。
食事の回数によって
歯が溶かされる
食事をするとお口の中が酸性に傾きます。酸性になると歯が溶かされていきますが、唾液の力によって修復され元の状態に戻ります。しかし、食事の間隔を開けずに食べていると、酸性に傾く時間が長くなるため、歯が溶かされ続けてしまい、虫歯になります。
間食(お菓子やブレスケア商品など)や飲み物(砂糖の入っているものなど)を頻回に摂取していると虫歯になりやすくなります。
飲食の成分で
歯が溶かされる
例えば炭酸水やレモンなど、酸性の食べ物や飲み物を常食・常飲していると、酸性に傾いている時間が長くなり、歯が溶かされてしまいます。摂取回数などに気を付ける必要があります。
細菌によって
歯が溶かされる
ミュータンス菌はとても有名です。
特にお子さまをお持ちだと、子供の教育教材の中にミュータンス菌が登場して歯を槍で突っついている動画を見たことがあるのではないでしょうか。
お口の中の細菌は、実は多くは酸性に傾く時に耐えられません。しかし、ミュータンス菌やラクトバチルス菌などは、酸性の状態にも耐えることができる細菌と言われています。その細菌が糖などを栄養素として取り込み、代謝物として酸を排出します。それが歯を溶かす原因となります。
このように、虫歯の原因としては上記の3つが大きく関与します。そのため、虫歯の原因となる細菌を除去すること(虫歯を取り残さないこと)、生活習慣を見直すこと、お口の中を清潔に保つことが重要であるといえるでしょう。
虫歯の症状を知る
虫歯の症状を知ることはとても重要です。虫歯の進行状態によって症状はことなりますので、虫歯の進行度合いに準じて症状を説明していきます。
初期の虫歯にある症状
- 歯の溝が黒くなる
- 歯が白濁している
初期の症状は痛みを伴わないため、わかりにくいのですが、注意して見た時に上記のような症状がありましたら、歯を削らずに再石灰化を促すことで元の状態に戻せることがあります。
軽度の虫歯にある症状
- 歯がしみる
- 噛むと痛い
軽度の虫歯は、冷たいもので歯がしみたり、噛むことで痛みを感じることがあります。エナメル質にまで虫歯が進行している状態です。この段階で治療ができれば、虫歯の処置と処置した部分の補修(CR充填)などで治療が完了します。
軽度〜中等度の虫歯にある症状
- 歯がしみる
- 噛むと痛い
- 甘いものを食べると痛みを感じる
象牙質は歯髄(歯の神経)を覆う歯質ですが、象牙質にまで虫歯が進行すると、神経に近くなるため痛みを感じやすくなります。この段階で治療ができれば歯の神経を保存することができます。歯の神経の重要性は高く、ご自身の歯の強度を持つためにもできれば神経は保存しておきたいというのが歯科医師の本音です。
中等度〜重度の虫歯にある症状
- 温かいものでもしみる
- 何もしなくても歯が痛い
- ズキズキと拍動痛がある
歯髄(歯の神経)にまで虫歯が進行すると、強い痛みを感じるようになります。歯の神経にまで進行すると抜髄治療といって、歯の神経の治療が必要になります。治療後には被せ物が必要になったり、根管治療の必要性が出てきます。
重度の虫歯にある症状
- 歯の大部分が失われる
- 痛みが急に消え、再度激痛に襲われる
- 歯茎が腫れて、膿が出る
- 口臭を強く感じるようになる
歯の神経が壊死し、歯の大部分が溶かされてしまい根管にまで虫歯が到達すると重度の虫歯であると言えます。、根管治療要性によって歯の保存を試みますが、他の歯に対する影響度を考慮して抜歯になる可能性もあります。
当院の虫歯治療4つの特徴
歯を残すことを第一に考える
ご自身の歯に勝ることはありません。当院ではご自身の歯を出来る限り長く使っていただきたいという思いから、歯を残すことにこだわります。
痛みを限りなく抑えた治療
虫歯治療の不安の一つとしてあるのが「痛み」です。当院では痛みの少ない麻酔治療や治療中に麻酔の危機を確認しながら、痛みを限りなく抑えた治療を実践します。
やり直しのない治療
虫歯の再発の多くは虫歯の取り残しや不良補綴物です。当院ではやり直しがないよう、虫歯を取り残さず再発の隙間を与えない治療を行います。
再感染させないメンテンナンス
虫歯予防にはメンテナンスが重要です。歯科衛生士によるクリーニングとプラークコントロールを徹底し、再感染させないような口腔感環境を作ります。
虫歯の進行と治療法
虫歯は進行度によって5段階に分けられます。
C0
虫歯の段階:C0まだ穴の開いていない初期の状態です。虫歯は黒いと思われていますが、ごく初期の虫歯は白く脱灰することが多いです。まれに表から見ると小さい虫歯でもレントゲンを撮ると大きくなっている場合があります。
治療法
適切な歯磨きと生活習慣指導をすれば進行を抑えられます。定期的に健診を受け進行状態をチェックします。
C1
初期の虫歯でエナメル質が侵されたもの。若しくは象牙質の表面がわずかに侵されたもので、自覚症状がない場合があります。甘いものがしみる、冷たいものがしみるような症状が出てきます。
治療法
全体的なお口の中の状況により詰め物をするか判断が分かれます。適切な歯磨きと生活習慣指導を行い、経過を追う可能性がある段階です。
詰め物をする場合は、虫歯の取り残しがないように齲蝕検知液で染め出し虫歯の取り残しがないかを確認しながら、マイクロスコープを使用し、虫歯以外の健全な歯をできるだけたくさん残すように注意して削ります。コンポジットレジン(CR)という歯の色をした強化プラスチックの樹脂で充填します。歯が隣り合っていたところが虫歯になっている場合は型取りをする場合があります。治療中に痛みがある場合は麻酔をします。
C2
虫歯が象牙質の部分まで進行していますが、まだ神経までは達していません。自覚症状としては、甘いものを食べると痛みを感じたり、冷たいものがしみる、温かいものがしみるなどの症状が現れることがあります。
この段階で治療すれば神経を取らずに済みます。自発痛(何もしなくても痛みがある)が出ている場合は神経の治療をする場合があります。
治療法
前述のように、虫歯をマイクロスコープで確認しながら取り残しのないようきれいに取り除きます。象牙質まで達していますから、麻酔が必要です。虫歯の大きさによって治療方法が変わってきます。比較的小さく浅い場合、コンポジットレジン充填をして表面を磨き、一回の治療で終わります。
虫歯が大きく、欠損部が多い場合は型採りをして、後日詰め物をします。
C3
虫歯が歯髄腔(神経と血管が入っている空洞)まで達している状態。神経が侵されていますので激痛があります。自覚症状がない方もいらっしゃいます。神経を取ると後々に感染を起こしたり、割れたり、虫歯に気が付かない、咬み合わせが変わった等の悪影響を及ぼします。
当院では神経が出てしまっている場合でもできる限り神経を残す治療を行っております。MTAといる神経を保護するお薬を使用することにより虫歯を取り除いて神経が出てしまった場合でも、可及的に保存することが可能です。痛みを取るため、また根の先への虫歯菌の感染を防ぐため、神経の治療が必要です。歯髄が生きている場合と以前に根の治療を受けて歯髄がなく、すでに根管内にお薬が入っている場合があります。
治療法
神経の治療で最も大切なことは、細菌を根管内に侵入させないということです。口腔内の唾液の中にはたくさんの細菌が含まれているため、根管内を消毒する際には、根管内に唾液が入り込むことを防がなければなりません。そのためにラバーダムというゴム製のシートを患部の歯にかけ、根管内に「細菌が感染しないように」しながら治療することが重要です>
また根管内は暗く狭く見えづらいので、肉眼やルーペでの治療では根の先端まで消毒されているか確認が難しく、いつまでも痛みがひかなかったり、しばらくしてから痛みが出たり、治療の成功率が下がります。そのために、顕微鏡(マイクロスコープ)で拡大して根管内を確認しながら治療を進めていきます。
神経の治療が終了して痛みがないことや、レントゲン写真やCT画像で異常がないことを確認してから、被せ物を作る過程に入ります。神経の処置後、ファイバーポストと呼ばれる芯をたて土台を作成します。土台は歯を長く保つためにとても重要な治療です。一般的によく使用される金属の土台は硬く、強い力がかかった時に歯が割れてしまうことがあり、このような場合、歯の保存が難しい割れ方をすると抜歯しなければなりません。また金属の土台は時間とともに金属が溶け出し、歯や歯茎が変色することもあります。
ファイバーコア(ファイバーポストを使用した土台)は耐久性があるうえ、硬さや弾力性が歯とほぼ同じであるので歯への負担が少なく、歯が割れる(歯根破折)のリスクを軽減します。また金属は光を通しませんが、ファイバーコアは光を通すため自然で透明感のある美しい歯を再現でき、金属アレルギーの心配もありません。土台を作成後は仮歯を入れ、型採りをして被せ物が完成します。
C4
虫歯治療の流れ
1. 問診
まずは患者様の状態を知るために問診を行います。
お痛みやその他の症状をお伺いしていきます。
2. お口や歯の検査
問診で伺った部分の検査以外にも問題がないかを検査します。
虫歯や歯周病の検査を中心として、それらを進行させる要因にもなる噛み合わせもチェックします。(お口の中を視診する、レントゲン撮影をする)
3. 検査結果・治療計画のご説明
検査した内容と治療計画を患者様にご説明します。ご質問にもお答えしますので、お気兼ねなくお申し付けください。
4. 応急処置
まずは応急処置を行います。
お痛みの除去などを行い、次のご予約まで苦なく生活ができる状態にします。
5. 次回のご予約
応急処置が終わったら、次回のご予約をお取りしていただきます。本格的な虫歯治療は次回予約からになります。
※次回までにより詳細な分析を行います。
6. 治療開始
改めて患者様のお口の状態をご説明し、応急処置から治療開始までの間で新たに発見したことなどもご説明します。
治療計画を改めてご説明したあと、同意していただいたら治療開始となります。